SAKAKIHARA

北アルプス立山登山part4「TJARの応援のため立山三山登頂 雄山~大汝山~富士の折立」

山歩き

山小屋泊の中ではだいぶ遅めの 6:50発

富山県を代表する立山の主峰、「雄山(おやま)」に登ります。

左下の赤い屋根が「一ノ越山荘」、雄山の頂上は霧の中。

おだやかな低山しか登ったことがない私にとって、雄山は大変な急斜面に見える。

それに足元は岩と砂ばかりで滑りやすい。

登っていく人が足を滑らすたび、コロコロと転がってくる小さな石に、よからぬ想像が増すばかり。

このコースは諦めるものと思っていましたが、私が言う「無理」が、友人にはどうも伝わらない。

仕方なくとりあえず出立。

雄山までは一気に300mを登りきらなければいけません。

恐怖で途中何度か動けなくなりました。自分でも「ほらね」って感じです。

一ノ越山荘が小さくなってきたけど、まだ高度100mも登っていない様子。

登り切れるのか?

上を見上げると恐怖で動けなくなるので、岩にしがみつきながら、1m先だけ見ながら進みます。

へっぴり腰だっだんよなー、この時。

下りてくる人も途切れないほど続き、雄山は大渋滞です。

1時間に及ぶ恐怖に打ち勝ち、雄山の頂上に辿り着きました!

ついに標高3000mの世界まで上がってきましたよ。

雄山の三角点(山の頂上に設置され、緯度・経度が正確に求められている基準点)に立つだけで、絵になります。

ここは雄山からさらに先、大汝山(おおなんじやま)。

今回の最高地点、標高3015m

半べそをかきながらも、くじけずここまで登ってきたのには理由があります。

「トランスジャパンアルプスレース(TJAR)」を応援するため!!

TJARは、「日本一過酷」と称される山岳レースです。

日本海の富山湾から、北・中央・南アルプスを縦断し、太平洋の駿河湾(静岡県)まで、約415kmを8日間以内に踏破するもの。

累積標高差は富士山登山7回分。

山小屋で補給できるのは水だけなので、テントや食料含め、必要な物は全て自分で背負ってレースに臨みます。

大会は 2年に 1度の隔年開催で、私は2012年にこのレースの特番を見て以来のファン。

選考会や2度の抽選を経て、選ばれた30名の選手にエールを送りたくて、ここまで登ってきたんです。

自分の足で登ってみてはじめて、山の素晴らしさや、怖さも分かり、目の前を通過する選手へ思いが溢れます。

8/11 0時に富山湾をスタートし、ここまでわずか8時間でやってくるトップ選手たち。

登山者の多くが、TJARをご存知のようで、たくさんの応援が飛び交います。

その声援に選手も笑顔で応えます。

トップ選手はこんな岩場でも跳ぶように走り抜けていきます。

一日目で「北アルプス」、二日目には「中央アルプス」三日目にはすでに「南アルプス」に到達する選手もいて、わずか5日ほどでゴールする人も。

トップ選手はもちろんすごいのですが、8日間ボロボロになって、ヨレヨレでゴールする下位の選手にも心を打たれます。

選手たちはプロではなく、どこにでもいるオジサンであることが、これまた良くて、出場選手の平均年齢は40歳を超えているんですから、スゴイですよね。

1位になっても賞金や商品はないというのに、みんな必死にゴールを目指すんです。

こちらの選手は初出場の美容師さん。

鍛え抜かれた太ももがダントツ太くて、しびれました。

ご覧ください、この爽やかな笑顔。

応援を受けると、選手はこんな表情で応えてくれます。

でも実際のところ、こちらが元気をもらうんですから、不思議なレースなんですよ。

ヒョイヒョイと登ってきて、次の山目指して颯爽と行ってしまいました。

「がんばってー」 「いってらっしゃーい」 「ゴールで待ってるよー」 

1位の選手を見送ったのは朝8時ですが、最後尾の選手が通過するのはさらに8時間ほどあと。

それくらい走力にはに違いがあるのです。

次の選手が到達するまで時間が空きそうなときを見計らい、隣の山「富士の折立(ふじのおりたて)」を目指します。

先の稜線を見ても、選手らしき姿が見当たらないので、登るなら今しかない。

富士の折立(標高2999m)は、かなりの勇気が必要そうです。

道行は狭く、頂上を目指す人は、みんなこうしてザック(荷物)を下ろして登っていきます。

主の分からぬザックがごろごろ転がってました。

雄山もなんとか登れたし、大汝山もクリアした。

ここまできたら富士の折立の頂上にも立ちたい!

行ってきました途中まで。

だってこんなに急なんですよ。

さすがに危険を感じ、断念しました。

友人を待つことわずかに3.4分。

ラクラクと登り、証拠写真を撮って帰ってきました。

「雄山より難しいから、ここは無理しなくて正解」なんて明るく慰められ、とりあえずここまできた自分を褒めて終えることができました。

霧が晴れると黒部ダムもよく見えるんです。

どこを見ても絶景の北アルプスでしたが、二日目前まではずっとガスっていて、こんなに見晴らしがいいのは久しぶりだったようです。

後方には劔岳(つるぎだけ)

選手は剱岳も越えて、こちらへと長く続く稜線を走ってきます。

その姿を見送れて、とても幸せな時間でした。

part4へ続く(月曜日のブログが最後だニャー)